2019年4月21日(日)曇り
行程:
ウテルガ 8:00→プエンテ・ラ・レイナ10:30~11:30→マニェル13:30
移動距離:11.7km
歩数:24257歩
サンティアゴまで:678km
ここ2日ほど、宿問題で想定より長く歩いてるもんだから、モデルコースよりだいぶ先を進んでいる。今日はプエンテ・ラ・レイナまで7kmだけ歩いて、休養日にするつもり。
プエンテ・ラ・レイナは大きめの街だし、午前中に着けば、さすがに宿にあぶれることはなさそうだけど、今日はイースターサンデーなので、念のためアルベルゲを電話予約しておくことにした。ワンくんはSIMがないので、ついでに同じところを予約してあげる。「毎日、ただ行けるところまで進むのみ!」というアレックスは、がっつり夕方まで歩くらしいので、どうやらここでお別れになりそうだ。
朝もゆっくり、8時に出発。薄曇りのなか、1人でとろとろ歩く。1時間ほど歩くとオバノスに入り、前日泊まったオバノスのアルベルゲを通過w そこからプエンテ・ラ・レイナはあっというまで、10時半には着いてしまった。
さすがに早すぎる... とりあえず朝ごはんでも食べるか。
イースターサンデーだからか、街に人影がほとんどない。くるっと一周しているときに目についたベーカリーに入ることにした。
クロワッサンとカフェ・コン・レチェ。クロワッサンが外パリ、中モチでめっちゃおいしい!街の人たちがひっきりなしにパンを買いにやってくるし、当たりのベーカリーだった!
インフォメーションセンターの2階から川を眺めてみたり、ベンチに座ってぼーっとしてみたりしたけど、アルベルゲが開くまでにはまだまだ時間がある。なんだか、もう少し歩きたい気分になってきた。Buen CaminoアプリやGoogle Mapsで、なにげなく次の街を調べてみると、とても評判のいいアルベルゲがある。泊まってみたくなった。
空きがあるか電話してみると、とても明るい声のおばちゃんが「どうぞどうぞー!」と言ってくれた。申し訳ないと思いつつ、プエンテ・ラ ・レイナのアルベルゲをキャンセルし、ワンくんにも「ごめん!もうちょい先まで行きたいから、私の分のベッドだけキャンセルした」とメッセージして、マニェルに向かった。
ほぼ巡礼者もいない道を、緑のなか、道端に咲く花を眺めながら、ときには無心で、ときにはどうしようもないことをあれこれ考えながら、ひたすら歩いて行くのは...
気持ちいいいいいい!
よくみかけた、このプチブーケみたいな花、かわいいな...
あの、丘の上に見える街がマニェルかな。
マニェルは細い道が入り組んだ、おもちゃみたいな街だった。そしてやはり人影がないw
中に入ると、さっき電話で話したと思われるオスピタレラのおばちゃんが、「まあまあ、よく来たわねえ、ささ、入って入って」的な満面の笑顔で迎えてくれた。
「おなかすいてない?まずは荷物を置いて、落ち着いて、そのあともし何か食べたかったら、バルで簡単なものが食べられるから言ってね」
おばちゃんはものすごく丁寧にアルベルゲの説明をして、部屋に案内してくれた。内部は、どこもかしこも、ぴっかぴかに掃除してある。部屋に入ると、ドイツから来たというカップルが寝ころんでいたので、あいさつ代わりに「ここ、めっちゃいいアルベルゲだね!」と声をかけた。「うん、僕ら、すっかりくつろいでるよ」
さっそくシャワーを浴びて、2階のテラスで手洗濯。軽く何かを食べようとバルに降りた。クロケッタがいくつかショーケースにある。おばちゃんのおすすめで、パプリカのクロケッタをチョイス。温めて出してくれたパプリカのクロケッタは、クリーミーで優しい味。めっちゃおいしかった!
クロケッタを食べていると、なんか聞いたことのある声がする。受付のほうを見ると、パンプローナの手前で会った南アフリカ人のアンディがチェックインしてきた。 こんなところでまた会うとは。その後は誰もいない街を散策したり、アルベルゲの中庭でコーヒーを飲みながらのんびりしたり。
夕食は今日もメヌー。なんだかんだで、毎日メヌーを食べている...ちょっとぜいたくだけど、ホリデーでお店開いてないし、全然自炊する余裕なかったし、食べるの好きだからおいしいもの食べたいし!ここのメヌーは、シェフでもあるオスピタレロのおっちゃんが作ってくれる。明るくておしゃべりなおばちゃんと、静かににこにこしているおっちゃん、そして、ここに泊まっている巡礼者のみなさん、全員がとっても和やかな空気を生み出していて、とてもアットホームで居心地がいい、ここ!
アンディや、部屋にいたドイツ人カップル、洗濯場で会ったフランス紳士のジェラールなど、20名くらいでテーブルを囲んだ。みんなで、カミーノのことについて話す。そういえば、最初にカミーノの体験談を聞かせてくれたオランダ人女子が
「カミーノ歩いてるときは、出会う人と、もうカミーノの話しかしないの。考えてみれば異様よね。毎日、話すこと100%カミーノよ。頭の中ぜーんぶカミーノなの」
って言ってたな。
「僕らは、毎日行先は一切決めないで歩いている。通りかかった街が気に入ったら、そこに泊まる感じだよ。ここもそう。1日にどれくらい歩くかを決めるんじゃなくて、実際にその街の雰囲気を感じて、その場その場で決めたいんだ。それができるのが、カミーノのいいところだよね」とドイツ人カップル。
「まったく同意。僕も、アルベルゲの予約はしない。カミーノは、気の赴くままに進む旅だよ。アルベルゲは予約するべきではないと思うね。そりゃ、宿が見つからなくて、体育館の床で寝るはめになったけど、僕は起こることをそのまま受け入れたいんだ」とアンディ。
「私は、最初の10日間はすべて宿を予約したよ。イースターで混むのはわかっていたから。心配事を抱えて進みたくはないからね」と、フランス人のジェラール。
熱血アレックスもそうだったけど、話をすると、それぞれがカミーノにどんな思いを抱いているのかがわかっておもしろい。
私も、心情的には「予定は立てずに気の向くまま進んで、気に入った街で泊まりたい」んだけど、そうはいいつつ、なんとなく先の街のことを調べたり、よさげなアルベルゲ調べたり、明日はどの辺まで...と計画をたててしまうな。カミーノではできるだけネットから離れよう、と思っていて、SNSはできるだけ見ないようにした。でも、地図を見るとそこからいろいろ調べてしまい、昔バックパックで旅行していたときみたいな、ノープラン旅がなかなかできない体になってしまった...
「できるだけいい思いをしたい」という煩悩が勝ってしまうのかなw
ミッションクリア型になっちゃうと、面白みや感動は減るってわかってるんだけど...
SIM仕込んできたのも善し悪しだな。デジタルデトックスって難しい!!
「人に出会って、自然に別れて行く。それがカミーノだよね」とアンディが言う。
うん、カミーノはひたすら出会いと別れだった。
ここで会ったアンディやジェラールとは、その後何度も再会して、いつの間にか会えなくなった。写真も撮ってないし、連絡先も交換していないから、顔は忘れちゃうかもしれないし、この先つながることはないだろう。でも存在感が完全に消えることはないな。カミーノを思い出すたび、彼らのことも思い出すだろう。一緒に過ごした時間はとても短いのに、印象は強烈に残る。カミーノの出会いってなんか不思議。
【本日のアルベルゲ】Albergue de Peregrinos El Cantero 11ユーロ
小さな街の、温かなアルベルゲ。
ペレグリーノメヌー10ユーロ。オスピタレロご夫妻が最高のおもてなしをしてくれます。