2019年4月26日(金)晴れ。今日も吹きすさぶ強風
行程:
ベントーサ 8:15→ナヘラ 10:30→アソフラ 13:00→シルエーニャ 15:30
移動距離:26km
歩数:42048歩
サンティアゴまで:569km
朝起きてみると、下のベッドで寝ていたアヤさんはすでにいなかった。私は今日もゆっくりスタート。洗面所で歯を磨いていると、これまで何度か顔を合わせていたドイツっ娘のパトリシアに、「宿を出てすぐのところにあるバルで、一緒に朝ごはんを食べていかない?」と話しかけられた。生真面目そうな、とても礼儀正しい女の子。彼女は、リタイア後にご夫婦で世界半周に出ている、ニュージーランド人のご夫妻と一緒に歩いている。明るくて話好きなポーラと、マイペースなアラン。このご夫婦には4日めのウテルガで出会った。アランは最初は元気いっぱいだったけど、ちょっと疲れがたまってきている模様...
バルを出て、少しの間パトリシアと一緒に歩く。もうすぐ、パトリシアのボーイフレンドもドイツからやってきて、SJPPから歩き始めるという。
「だから、できるだけ早く進まなきゃと思ってるの。追いつかれないように」
真剣な顔で、パトリシアはそう言った。ん?一緒に歩くんじゃないんかい?
「ううん。私はね、彼から逃げなくちゃいけないの」
冗談なのか、本気なのか、パトリシアの表情からは読み取れなかった。
途中でパトリシアと別れて、ひとりで歩く。今日も風が強い。空は真っ青で、だだっ広い麦畑に白い道が一本ずっと続くこの景色の中を、風にびゅーびゅー吹かれながらひとりでもくもくと歩いていると、どういうわけか、なんともいえない幸せな気持ちになる。
1時間ほど歩くと、ナヘラの街が見えてきた。赤土の丘が街のそばに迫っていて、建物もカラフル。
けっこうしっかり朝ごはんを食べたけど、甘いものが食べたくなったので、ベーカリーでナポリターナ(巨大チョコクロ)とオレンジジュースとコーヒーで2回目のあさごはん。このナポリターナ、時折めっちゃ食べたくなるのですが、お店によってかなり当たり外れがある。ここのはまあまあ。
ナヘラを出たら、次の街アソフラまでまた5kmほど。
荒野の途中に、アソフラは忽然と現れた。
なーーーんにもないし、人もいない。道1本で終わりの、ほんとに小さな村。観光では絶対来ないようなこういう村を抜けていくの、楽しいな。
今日はアソフラからぐーっと丘を登ったところにある、シルエーニャという街で泊まるつもり。登りと言っても10kmで200mほど上がるだけなので、特に坂道という感覚はない。
ナヘラもアソフラも、古い街の趣があったので、シルエーニャもそんな感じかなと思っていたら、なんだか急に近代的なゴルフ場が現れた。ゴルフ場を通過すると、比較的新しい集合住宅がたくさん建ち並んでいる。山を切り拓いて作った日本のニュータウンに雰囲気が似てる。
お?なんだこの街...なんか今までの街とは違う...
異様なのは、そんな新しく近代的な街なのに、人の姿がなく、生活感もないところ。店らしきものも全然ない。地図をみると、人口は100人とある。こんなに家だらけなのに、人口100人てどういうこと?ここは、もしかして、ゴーストタウン...?
頭ハテナになりながら、アルベルゲを目指して歩いていると、前方にNZご夫妻のだんなさん、アランの姿があった。奥さんのポーラはいない。彼らは荷物運びサービスを使っているので、小さなリュックだけで歩いているけど、明らかに疲労の色が濃い。追いついて、ちょっとの間一緒に歩いたけど、ゆっくり歩きたいから先に行ってくれと言う。だいぶお疲れだけど大丈夫かな... ま、もう街の中だから、もうちょっとだけ頑張って。
シルエーニャにアルベルゲは2つある。新しいほうに泊まろうと思っていたけど、もういっぱいだったのでもうひとつのほうへ。このアルベルゲ、レビューを読むとなかなかクセのあるアルベルゲらしい。向かう途中で、もうチェックインをすませて街歩きしているアヤさんに再会したので、どんなアルベルゲかきいてみると、
「えー、ぜんぜんオッケーですよ!平ベッドの3人部屋だし」
玄関を入ると、ひげもじゃの山男風のオスピタレロが出迎えてくれた。中は手作りの山小屋風。キッチンはいろいろなもので雑然としていて、生活感あふれまくり。整然とした街とのギャップがすごい。店やレストランがまったく見当たらないので、オスピタレロの手作りディナーを予約。
ポーラとパトリシアがいたので、さっきアランをみかけたことを報告。ご夫妻はたぶん70代くらいだから、疲れもたまってくるよね。ポーラはまだまだ元気そうだけど。
平ベッドのある3人部屋に通されて、1階で手洗濯をしていると、オスピタレロが突然、血相変えて「ミユキ!ちょっと来てくれ!」と現れた。なに?なになに?なんか怒ってる?私なんかした?急いで部屋に上がっていくのでついていくと、荷物をまとめてすぐ部屋を移ってくれ!という。
なんかよくわからんが、荷物をひっつかんで案内された部屋の扉をあけると、
どうやら、男性の2人連れが来たので、私をほかの部屋に移してくれたらしい。うわこれめっちゃラッキーやん!オスピタレロ、怖い顔でずんずん来るから、なんかやらかしたかと思ったよー!
ディナーには、顔なじみのメンバーがそろった。仏紳士のジェラード、NZ夫妻のアランとポーラ、ドイツっ娘のパトリシア、アヤさん、前日ミントティーをふるまってくれたUKファミリー、それにここで初めて会ったポルトガル人のシルヴィア、ドイツ女性のマリアンヌなどなど。
ディナーはよくあるペレグリーノメヌーとは違って、クスクス入りシチューとパン、ヨーグルトと手作りのいちじくジャム、それに、山のように盛られた殻付きのくるみ。くるみ割り器をみんなで回しながら、ぱきぱきくるみを割りまくる。なんかおもろー。
まだ、NZ夫妻とパトリシアにはホタテの折り紙をあげていなかった。ここで渡すと、パトリシアはとても大切そうに貴重品入れにしまってくれた。前日のベントーサとここで配りまくったので、そろそろ在庫不足。デスク付きの個室に泊まれるので、この日は夜更かしして、精力的にホタテを製造した。
【本日のアルベルゲ】Hostel Virgen de Guadalupe 9ユーロ
ひげもじゃで強面のオスピタレロ、個性的なブルーの外観、モノと生活感があふれたリビング。最近増えている、こぎれいで機能的なアルベルゲとは違い、万人ウケするアルベルゲではない。Google mapsのレビューを見ても、最高!から最悪!まで、泊まる人によって評価はさまざま。部屋は平ベッドの3人部屋で、建物全体が手作りっぽく、よくも悪くも雑然としている。
オスピタレロの作ってくれるディナーは、武骨で素朴な男の手料理!という感じで、ハイジの夕食みたい。ヘルシーでやさしい味で、特にホームメイドのパンはとてもおいしかった!デザートは、殻付きのくるみが山盛り。手作りのいちじくジャムも甘さ控えめで美味。
一風変わった雰囲気が好きな人にはおすすめ!ただし、洗練されている感はゼロなので、きれい好きなかたにはあまりおすすめできないw 私はけっこう好きだし、かなり印象に残っているアルベルゲ。