カミーノ日記2019:スペイン巡礼、フランス人の道780km + 120km

2019年4~5月、カミーノ・デ・サンティアゴ、フランス人の道を歩いてきました。ブログ内の情報はすべて2019年5月~6月時点のものです。

【Day 30: Ruitelan - Fonfría】五里霧中の峠越え。何も見えない!からのあったかディナー

2019年5月17日(金)どんより→大雨!霧!なんも見えねー!→ちょっと晴れからのまた雨

 

行程:

ルイテラン 8:00 → ラ・ファバ → オ・セブレイロ → ポドルネロ → フォンフリア  15:00

移動距離:20.8km

歩数:電池切れで計測不能

サンティアゴまで:148km

 

 今日は峠越え。一番晴れてほしい日だったけど、どすぐらーーーい曇天。まあしかし進むしかない。レインジャケットを着て、ザックカバーをかけ、その上からポンチョかぶって出発。雨いつでも来いやー!

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ルイテランから峠のてっぺんオ・セブレイロまでは、約10kmの間に600mほど上っていく。

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最後の村通過しまーす。

エレリアスを過ぎると本格的な登り。このへんからぽつぽつ降り出した。

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まっすぐは自転車用。この分岐はさすがにわかりやすい...

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雨だけど森は喜んでるねー。

ラ・ファバという山中の小さな集落のあたりで、結構なだだぶりになってきた。トイレ休憩をかねて朝ごはん。

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入ったのはここじゃないけど。

写真撮らなかったけど、このラ・ファバのアルベルゲに併設のこのバル、暖かいしおいしいし、インテリアもかわいいし、雨宿りには天国だった...

激しい雨が降ったり、霧がかかったり、どんどん暗さが増していくなか、山道をもくもくと歩く。

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そしてついに、最後の州、ガリシアに突入!

冷たい雨に打たれつつ、オ・セブレイロに到着。石造りの、思ったより新しい感じの大きな村。

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てっぺん来ると風もすごくて、さ、さぶい... とにかく寒い!あったまりたい!開いていたレストランは人でいっぱいだったけど、カウンターにどうにか1つ席を見つけた。

 

ここ、プルポが名物らしいけど、今はとにかく温かいスープが飲みたい!ガリシア風とにんにくスープと迷ったけど、今はパワーつけたい!ってことでアホスープ。

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生き返りまーーーーーーす!

十分に暖をとったところで、気合を入れて外に出た。相変わらずの強風。レストランの出口で、黒っぽいポンチョを着た人とすれ違った。ん?なんか見覚えが。

アリシアーーーーー!」

「あーーー!ミユキーーー!」

コリアン女子のアリシアだった。彼女はオスピタル・デ・オルビゴのVerdeに2泊したのでもう会えないかなと思っていたけど、この状況で遭遇w

「オ・セブレイロで泊まるつもりだったけど、アルベルゲがもうフルだった。寒いし、疲れたし、もう歩きたくないよー!」

アリシアは半泣きになっていた。すでに今日かなりの距離を歩いてきているみたい。私は、今日はまだ10kmほどしか歩いておらず、予定ではあと11km先のフォンフリアまで行くつもりだったけど、悪天候と雨で、もう今日は終わりにしてもいいかなと思い始めていた。

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だって出たらまたこんなんやったし...

 

「3km先にアルベルゲがあるから、そこに行く。新しくてきれいなアルベルゲみたい」とアリシアが言うので、私も今日はそこに泊まろうと思った... 空いてたらな...

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よし、もうちょっとがんばって行こうぜ。

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もうなんも見えませーん。

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峠越えたら一瞬雲が切れた!ありがたや...

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ほどなく次の村、リナレスに着いたものの、アルベルゲはすでにいっぱいだった。あー2日目の悪夢がよみがえる...

アリシアと2人、無になって歩き、次の村オスピタルでようやく空きベッドがあった。アリシア、崩れ落ちるようにチェックイン。でもだんだん晴れてきたので、私は予定通りフォンフリアまで歩くことにした。

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さっきまで霧でなんも見えんかったのにー。

とはいえ、山の天気は変わりやすく、このあとまた何度も霧に包まれたり雨に降られたり。

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写真だとわかりづらいけど、かなり急な上り坂。

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ようやくフォンフリア到着。アルベルゲが見えたときの喜びよ...

あーーー今日はアップダウンが激しかったうえに悪天候できつかったー!



【本日のアルベルゲ】Albergue A Reboleira 9ユーロ


めっちゃお気に入りのアルベルゲなのに写真撮ってなかったw

ソファがたくさんおいてあるラウンジと、おいしいチーズが食べられるバルがあって、すっごくくつろげる。チーズは忘れられないくらい美味なのでおすすめ!

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自家製フレッシュチーズのはちみつがけ。激うま!

ベッドルームは大部屋ながらモダンな造りで、シャワールームや洗濯場など、水周りがきれいだし、シンクが足踏み式でとても使いやすかった記憶。下駄箱には靴乾燥機が仕掛けてあるのもありがたい。

 

そして、ここのコミュニティディナーが、とっても豪華でおいしい!

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こちらが別棟のレストラン。

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ガリシア風スープ。おかわりもできるー!

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インテリアもすてき。

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そして肉と米!最強(アゲイン)!

ボリュームもたっぷりだし、味もよいし、デザートはサンティアゴケーキだし、雰囲気もすてきだし、ここのごはんもう一度食べたいな...

ちなみに、フランス人の道7年連続7回目のエキスパート、スーさんにここでまた遭遇。カミーノ後半のスーさんとの遭遇率が高すぎw ここの夕食はスーさんも大好きで、リピーターだそうなので、間違いないですw

 

【Day 29: Pieros - Ruitelan】青空に無数のひこうき雲、からの、どんより車道。嵐の前の静かな夜

2019年5月16日(日)快晴→どんより→ちょい晴れ→どんより

 

行程:

ピエロス 8:00 → ビジャフランカ・デル・ビエルソ 11:00 → トラバデーロ 12:30 → ベガ・デ・バルカルセ → ルイテラン 15:30

移動距離:26km

歩数:41115歩

サンティアゴまで:169km

 

アルベルゲで朝ごはんをいただいてゆっくりスタート。

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天気予報では、今日あたりから天気が崩れるとあるけど、そんなのが信じられないほどの快晴。でも、ひこうき雲がすごいからやっぱり崩れるのかな...

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ピエロスからビジャフランカまではぶどう畑が続く。

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鳥がちゅぴちゅぴ鳴いていて、なんとさわやかな朝ー!

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かわいいワイナリー。

 ぶどう畑を抜けたあたりに、小さなオープンカフェ(オープンバル?)があったのでコーヒー休憩。あーーーーー朝のバル休憩最高。

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ここから少し坂を下っていくように歩いて、ビジャフランカに着いた。

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ちょいと曇ってきましたね。

 

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ぽつぽつ雨も降りだしたので、レインジャケットを着てポンチョをかぶる。天気予報って当たるのね。

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ここから次の街のトラバデーロまでは、山の間を抜けていく車道沿いの道が10kmほど続く。日本の山間部の車道にちょっと似ている雰囲気。景色が変わらないし、視界も狭いし、延々コンクリだし、雨がぽつぽつして来たし、しんどー!この道は、ブルゴス手前の灰色ロードに続いて退屈なつらい道だった...

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トラバデーロ着いたー!

トラバデーロには、アヤさんから「ごはんがめっちゃおいしくて、超おすすめ!」とメッセージで教えてもらったアルベルゲがあるので泊まりたかったけど、翌日は峠越えになるので雨が降る前にできるだけ進んでおきたかった。なので泣く泣くスルー。

 

その代わり、たまたま目についた、落ち着いた感じのレストランで軽くランチ。かぼちゃのスープをいただきましたが、これとてもおいしかった!

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Albergue Camino y Leyenda

アルベルゲに併設のレストラン。

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お猫さまのびてはるー!

トラバデーロから山越えのふもとの街までは、曇天のなか、また10kmほどほとんど上りのない車道が続く。うー、長い...

 

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ぽてぽて歩き続け、結局ふもとの村1つ手前のルイテランでストップ。もう今にも雨が降り出しそう。

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明日は、今日よりもっと天気が悪くなるらしい。山越えのふもとの村、エレリアスからは、8kmほどの間に標高700mから1300mまで一気に上がる。よりによって、ピレネーに続いて、峠越えで悪天候かー。峠運がないな...

 

ルイテランは小さな集落で、店らしきものもないし人影もない。アルベルゲに荷物を置いて、街の入り口にある小さなバルで、カフェ・コン・レチェとケーキをいただく。お客さんは、同じアルベルゲに泊まっている男性がひとりだけだった。静かで、暖かくて、落ち着けるカフェミュージックが小さくかかっていて、リラックスできる。

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【本日のアルベルゲ】Albergue Refugio Pequeno Potala  確か6ユーロだった気が...(メモるの忘れた)

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ベッドルームは男女別に分けてくれる。大きくて明るいリビングにはクラシックピアノのBGMが流れて、蝋燭も灯されていていて落ち着ける。この日は同じ部屋に台湾人の女の子がひとり。彼女は、SJPPから徹底して小さな村だけを選んで泊まっているという。

「大きい街や大きなアルベルゲには泊まりたくないんだよね。静かなところが好きだし、混んでたり、うるさいのはいやだから」

確かに、メジャーどころはすべてスルーして、めっちゃ小さな村だけに泊まっていくというのもおもしろいかも...

 

そのほかの宿泊客は、男性が3人だけ。静かなよい夜。

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生活感がすごいw

オスピタレロが作ってくれる夕食はボリュームたっぷり。野菜のポタージュ、モッツァレラチーズやツナがどっさりのったサラダ、メインはカルボナーラ。「おいしい家庭料理!」って感じで大満足。

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【Day 28: Molinaseca - Pieros】ぶどう畑、木漏れ日のハンモック、プルポ、極上ベジタリアンディナーで癒されっぱなしの1日

2019年5月15日(水)快晴!

 
 
 
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Camino Day 28 Walking through vineyards. 昨日は山道、今日はぶどう畑の中の道。 #caminofrances #camino #buencamino

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行程:

モリーナセカ 7:50 → ポンフェラーダ 11:00 → コルンブリアノス → カンポナラヤ → カカベーロス 15:00 → ピエロス 16:00

移動距離:24.9km

歩数:44783歩

サンティアゴまで:もう200kmないぞ!187km

 

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2日目に出会った宿なし仲間、ロシア人のアレックスは、昨晩コンポステーラに到着したらしい。はっや!200kmも差がついたやん!途中までは、アレックスがムシアとフィステーラに行ってコンポステーラに戻るころ、私がちょうどコンポステーラに着いて再会できるかなと思ったけど、どー考えても無理だわ。ということで、到着おめでとうのメッセージだけ送っておく。

私「残念だけど、サンティアゴで再会するのは無理だねー。またいつかどっかで会えるといいね」

アレックス「来世でな!」

冷たいw そして勝手に時空を超えるんじゃないw

 

モリーナセカを出ると、今とはずいぶん雰囲気の違う道が続いていた。5kmほど先の大きな街、ポンフェラーダまで、これまであまり通ったことのないような、普通の住宅街を抜けていく。

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ポンフェラーダ城、またの名をロス・テンプラリオス城。12~13世紀に、巡礼路の安全を守っていたテンプル騎士団が本拠地として使っていたお城だそう。朝早かったので中には入れなかった。

お城の目の前にあった、こじゃれたベーカリーでお城を眺めながら朝ごはん。

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いつもの「巡礼者だらけのバル」とは違って、街の人がいっぱい。

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このクロワッサンめちゃくちゃおいしかった!

LIÉBANA ECOFFEE

さて、今日は街を出る前に、通信会社のorangeに行かなければならない。SIMの有効期限が切れたので、オンラインでリニューアルを試みたものの、うまくできなかった。ポンフェラーダには店舗があるはずなので、そこで見てもらおうと思っていた。ただ、すでにデータが使えないので地図が使えずorangeを探してうろうろ...

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ポンフェラーダ、ステキな街だ...


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ストリートマーケットがあるみたい。都会や!

途中、街の人に尋ねながら、巡礼路を大きく外れて街の中心に行き、どうにかorangeを発見。お店のお兄さんが親切に対応してくれて、更新できた!

(SIMについてはこちらにまとめました)

巡礼路に戻るのもまた盛大に道を間違えw、だいぶ道草をしてようやくルートに戻る。

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川沿いに遊歩道。住みたいこの街。

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え?ルートそこ?

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ポンフェラーダ、適度に都会で、でも緑もいっぱいで住み心地よさそうな街だなあ... ここからまたしばらく、今風の住宅街と小さな街が続いて行く。

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カミーノ道しるべもちょっと変わってきたぞ。

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ひこうき雲が教会を派手に演出しておる...

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絶景スポットに巣を作るやん?

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住宅街のちっちゃい教会シリーズ。

カンポナラヤを過ぎると、ワインショップやワイナリーが増えてくる。

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カンポナラヤのワイン屋さん。顔が並んでいるみたいでかわいい!お店の一角にはワインを飲めるスペースもある。こういうところで味見するの楽しいだろうなあ。お酒飲めないのが悔しい(グラス1杯で頭が痛くなる下戸)。

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ここからはぶどう畑が続く。

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ぶどう畑歩くの幸せ...

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あーーーーー麦畑もいいけどぶどう畑もいいいいいいいい!
幸せ噛みしめて歩いていたら、急に青空カフェが出てきた!

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絶対素通りできないやつやんこれ!

結構暑いので、スムージーでもいただきましょうか。

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ハンモック見ると転がらずにはいられない。

カミーノの道中には、ちょいちょいこの「動けなくなるトラップ」が仕掛けてあるから困るわー(満面の笑み)。

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ハンモックから見上げた空。幸せとはこういう時間。

今、この時のこと思い出して半笑いになってますよ...

いろいろ道草したので、カカベーロスに着くころには2時半を回っていた。でも今日はこのもうひとつ先の村まで行くのよね。

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この、人がたくさん座っているバルを通過しようとすると、コリアンガールのスンヨンがテーブルにいた。おおお!タコ食べてるやん!

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プルポ屋さんだった!

めっちゃ食べたかったやつ!名物なのはもう少し先の街だと思っていたけど、専門店みたら食べないわけにはいかないー!

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ということで初プルポ。

一足先に席を立ったスンヨンが、「また会えてうれしかったから」と私のぶんのプルポの会計も一緒にすませてくれた。ありがとうスンヨン。じゃあ、次にどこかで会ったら私がなにかごちそうするね。

 

さ、あと3kmちょい。ピエロスに行く。今日は泊まりたいアルベルゲがあって予約していたので、4時までに着かなければ。結構ギリギリ。 

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【本日のアルベルゲ】Albergue de Pieros "El SERBAL Y LA LUNA" 9ユーロ

 

10ユーロで、オーガニックなベジタリアンディナーが食べられるアルベルゲ。私はベジタリアンではないけど、Alberge Verdeがとてもよかったので、またあんな感じの宿に泊まりたいなと思ってみつけた。

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車道からさくらんぼ並木を入っていくと到着。建物もすてき!

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ベッドルームは天窓付きの山小屋風。

南京虫対策で、荷物はビニール袋に入れて搬入。小ぢんまりしていてめちゃリラックスできる。

お楽しみのディナーは、パプリカとたまごのマリネに、ベジタブルクスクス。

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野菜もりもり、この下にクスクスもりもり。取り分けるスタイル。

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デザートはフルーツカクテル。かわいいだけじゃなくてめっさおいしい!

なんだろうな、ベジタリアンフードを出すアルベルゲは、どこもかしこもなんでこんなにすてきなの? 超絶おすすめです、ここも。
ちなみにこの日のメニューにはたまご入ってるけど、ビーガンの方にはビーガン対応メニューもありました。

【Day 27: Rabanal del Camino - Molinaseca】鉄の十字架に煩悩をひとつ置いて来た

2019年5月14日(火)

 
 
 
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Camino Day 27 Leave everything you don't need, here. いらないものはみんなここにおいていけばいいよ。 #camino #caminofrances #buencamino

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行程:

ラバナル・デル・カミーノ 7:30 → フォンセバドン 8:30 → 鉄の十字架 → エル・アセボ・デ・サン・ミゲル 11:00 → リエゴ・デ・アンブロス → モリーナセカ 15:40

移動距離:25.6km

歩数:42776歩

サンティアゴまで:219km

 

 今日はなかなかアップダウンのあるルート。標高1200メートルのラバナルから、5kmちょいで1500メートルまで上がる。そのあと1000メートルまで下って、もしモリーナセカまで行くならさらに200メートル下る。

 

しかも今日は「鉄の十字架」というカミーノのシンボルみたいなところを通る。道中に背の高い十字架が設けてあり、自分の家から持ってきた石や貝殻を置いて、道行きの安全や、自分の望みを願ったりする場所。カミーノに来ようと思ったきっかけの映画でも印象的な場面だった。石は持ってきていなかったので、途中で拾った石と、貝殻代わりに願いを書き付けたホタテ折り紙を置こうかなと思っていた(ほんとは石か貝殻など、自然に還るものしか置いちゃダメです)。

 

今日は私にとっては区切りになる日。煩悩をひとつ置いていきたいから。

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鉄の十字架までは6kmほど。できれば早めに着きたかったけど、結局いつもと同じような時間に出発。

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1時間ほどでフォンセバドンという街に着いた。一時は廃村のような状態だったけど、アルベルゲなどを整備してよみがえった村らしい。どうりで、古い石造りの建物が並んではいるけど、道などは新しいし、朝ごはんに入ったバルの前も大々的に工事中だった。

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ほんとに毎日こればっか食べてるな...

バルでテレサに会った。アメリカ人のテレサは、オーストラリア人のコリーンとカミーノで出会って仲良くなって、しばらく一緒に歩いていたけど、レオンでいったん解散。

「私もコリーンも、自立した人間だから、一緒にいるのも楽しいけれど、それぞれの時間も尊重したいのよ」ってそのとおりだね。そういう、べったりじゃない距離感をごく自然にに取れるのがいいな。

2人とも60歳前後かな?カミーノでは、旦那さんをおいて、ひとりで来ている50~60代の元気な女性にたくさん会う。みんなめっちゃパワフルだし、楽しそう。アルベルゲでは、おうちに置いてきた旦那さんとスマホでチャットしたり、電話したりして、仲良さそうで、こうしてお互いに独立して好きなことできるのって、いい関係だなあと思う。

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鉄の十字架の前に木の十字架あった。

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鉄の十字架まではずっと上り。

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そして鉄の十字架は突然現れた。

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ん?んん?

ものすごく神聖な雰囲気の場所をイメージしていたんだけど、すぐそばを車道が通っていて、ぴかーーーーんと明るい空の下で、たくさんのグループがきゃっきゃいいながら記念写真を撮りまくっていて、なんかちょっと思てたんと違う...

 

おまけに、塚のうえでビブスを着た係員さんが、巡礼者が置いて行ったさまざまなものを拾い集めて、袋に入れてゴミ箱に運んでいる。

 

舞台裏と言うか、見てはいけないものを見てしまった感じ。...ちょっと、来る時間帯ミスったかな。ここ、たぶん早朝とか夕方とか、あまり明るくなくて人が少ない時間帯に来た方がいいのかも...

 

置かれているものも、ひとつひとつは大切な思い出の品なんだろうけど、みんなが置いて行ったら、処分しないとすぐゴミの山になっちゃうもんね。そりゃそうだ。

 

私も、思い入れをがっつりしたためた折り紙で折ったホタテを置いて、ここで自分の気持ちに終止符を打とうと思っていた。なにかしらの儀式が必要だったから。でも、なにをもめてるかしらないけど、係の人と巡礼者が大声で言い争っている声も響き渡ってるし、この明るさとたくさんの人でド観光地っぽい雰囲気でもあり、すっかり拍子抜けしてしもうた。

 

ま、一応石と折り紙を置いて、じゃーな、とつぶやいてみた。折り紙はすぐに係の人につまみ上げられて、ゴミ箱に捨てられるんだろう。でもまあ、私のつまんない執着心なんて、そうやって、ひょいひょいっと処分してもらうくらいでむしろちょうどいい。

 

儀式終わり!

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ばいばーい!

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十字架の横には小さなチャペル。この前でめっちゃ大声でケンカしてたw

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ここからは下り。紫の花と黄色い花がたくさん咲いている。黄色いのはエニシダ。カミーノの矢印は、このエニシダの黄色い花から来ていると聞いた。昔はエニシダの黄色い花をたどってコンポステーラまで行っていたから、黄色い矢印になったんだって。本当かどうかは知らないけど、確かに、エニシダのある道が続いている。

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山肌が一面紫。雪山も見えてきた。

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山の中に、突然手作り感あふれるアルベルゲ。

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急坂降りたらアセボの村。

ぺったんこの道も好きだけど、山道もいいなー。

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古い街並みがいい雰囲気。

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と、急にめっちゃモダンな、リゾートホテルみたいなアルベルゲが出てきた。前の日に、「プールのある豪華なアルベルゲ」があるって誰か言ってたけど、きっとこれのことだな。

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今日はやっぱモリーナセカまで行く感じかな。

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山道から急に村になるアンブロス。

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こんなに下り続けたのひさしぶりー!でも変化があって楽しい。

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モリーナセカ見えてきた。

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アルベルゲに荷物を置いて、いつものように街歩き。

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水がきれい。ここでぼーっとしたい。

 

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お遍路さんと提携してる?

モリーナセカで印象的だったのは、強烈な西日とお猫さまたち。

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西日に照らされて、なんかふわふわしたものがいっぱい。

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アルベルゲにはキッチンがなかったので、川沿いのレストランへ。せっかくなので、眺めのよいところでごはんを食べたかった。

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川を望むナイスロケーション。ローカルフードだよ、とすすめられたお肉料理をいただいた。確かChichos con patatasって名前だったかと。ちょっとしょっぱかったかな。

【本日のアルベルゲ】Albergue Compostela 9ユーロ

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1階と2階にあるベッドルームは大部屋ではあるけど、ベッド4つずつくらいに区画分けしてある。2階に電子レンジだけはあるけど、キッチンはなし。シャワールームはめっちゃ大きくてきれい。

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【Day 26: Astorga - Rabanal del Camino】石造りの建物と坂道の街で、懐かしい人たちにさようなら

2019年5月13日(月)快晴!

 
 
 
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Camino Day 26 No more flat roads. Going up hills again. 今日からまた峠越えシリーズスタート! #camino #caminofrances #buencamino

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行程:

アストルガ 7:30 → ムリアス・デ・レチバルド → サンタ・カタリナ・デ・ソモサ → エル・ガンソ 12:30 → ラバナル・デル・カミーノ 14:30

移動距離:20.6km

歩数:38586歩

サンティアゴまで:243km

 

はあ、昨日は盛りだくさんな1日だった。アルベルゲのテラスから見える朝の景色がきれい。

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 今日からおくすりをちゃんと飲まなければ。いつもは、街を出て2時間くらい歩いてから朝ごはん休憩にするけど、アストルガでホットチョコレートを飲みたかったので今日はチョコレート屋さんでいきなりごはん。

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全部甘い...(甘いのしかなかった)

朝は大聖堂や司教館に光が当たってきれいだな。アストルガは路地もすてき。

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ぐらしあーす

今日は、最初のほうはフラットだけど、途中からずっと上りになる。ブルゴス以降、ほぼほぼずっとぺったんこな道だったから、上りはひさしぶり。といっても10kmの間に200mほど上るだけだから、そうたいしたことはない。

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石垣や石造りの建物が増えてきた。

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今日泊まるのはラバナル・デル・カミーノ。街全体が緩やかな坂になっている。

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街の入り口にあるアルベルゲに、見知った顔が何人かいた。でも今日は街の奥の方にある寄付制のアルベルゲに行くつもり。

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坂を上っていくと、右手に別のアルベルゲがあった。庭でMr. トラブルが寝椅子に転がって、煙草を吸っている。私が通りかかったのに気づいて、脚大丈夫か?というような仕草をしたので、だいじょぶだよーと手を振った。ギター弾きアンドレアスの4人グループもいる。テレサもジェラールもいたし、このままみんな同じようなペースで進んでいくのかな、サンティアゴまで、と思ったけど、でも、頻繁に会ってて、また会うだろうと思っていても、突然会えなくなっちゃうんだよね。

 

だんだんそういう人が増えてきて、ジェラールとMr. トラブルには、結局ここで会ったのが最後になった。連絡先も知らないし、Mr. トラブルに至っては名前も知らないし。針と糸、結局持っていかれたなw

 

みんな、今ごろどこで何してるのかな。遠くで、ときどき思い出すのもよき。

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  アルベルゲは教会のすぐ横にある。ボランティアさんが英国の方だったからか、庭で紅茶とビスケットのお茶会をしていたからか、なんとなく「英国風」だった印象。

 

ものすごく広い庭がある。

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これ全部庭ー!

この街の教会で行われるミサは人気があるらしく、オスピタレラに「ぜひ行ってみて。早めに行かないと入れないかもしれない」と言われた。街ぶらしたり買い物したりしていて、結構ぎりぎりになったのであわてて行ってみると、確かに人がぎっちり。石造りのこじんまりした教会は、厳粛でありながらアットホームな感じもする、心が静かになるような雰囲気。ミサには何度か参加したけど、心に残っている場所のひとつ。

 

アルベルゲに戻って、洗濯物を取り込みに行くと、庭でご陽気ケベッコワ3人衆が夕食を食べていた。手を振ると、手招きされたので近寄っていくと、夕食が少しだけ余ったらしく、パスタをいただいた。いつも、にこにこと楽しそうに3人でごはんを食べ、ワインを飲んでいる人たち。彼らともここで会ったのが最後になった。5日めのエステージャで初めて会って、そのあとあちこちのアルベルゲで一緒になって、勝手に「旅の守り神」的な存在って思ってたから、サンティアゴで会いたかったな。でも最後にパスタごちそうしてくれてありがとう。

 

【本日のアルベルゲ】 Refugio Gaucelmo 寄付制

 

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緑がいっぱい!部屋も窓がたくさんあって明るく、広いし、バスルームも広くてきれい。キッチンも大きくてきれい。洗濯のとき、手動の小さな脱水機を貸してもらえる。紅茶とビスケットのお茶会もあり。

【Day 25: Hospital de Orbigo - Astorga 】チョコレートの街アストルガで病院に行った話

2019年5月12日(日)快晴!

 

 行程:

オスピタル・デ・オルビゴ 8:30 → ビジャレス・デ・オルビゴ → サンティバニェス・デ・バルデイグレシアス → サン・フスト・デ・ラ・ベガ → アストルガ 14:30

移動距離:17.2km

歩数:33922歩

サンティアゴまで:263km

 

Alberge Verde、朝も、おいしいパンに2種類のミューズリをいただきながら、とても心地よいひとときを過ごせる。ゆっくりと朝ごはんを食べて、支度をして外に出ると、いつも朝早く出発するコリアンガールのアリシアが、まだ陽だまりの椅子でくつろいでいた。

アリシア、今日はずいぶんゆっくりだね」

「うん。ここがあまりにも気に入ったから、もう1日泊まることにしたんだ」

いやー、わかる。私ももう1泊してまたあのごはん食べたいわ!アリシアはいつもにこにこしているけど、昨日も今朝も、ことのほか幸せそうで、心からくつろいでいる様子だった。

 

「オスピタル・デ・オルビゴを出ると、車道沿いの道とオフロードに分かれるんだけど、オフロードを行くといい。行き方はすぐわかるから」と宿の人に言われて、もちろんそっちを目指したんだけど、また曲がる場所を間違えた。違う方向にずいぶん歩いて、1時間くらいムダにしてしまった... 我ながら方向音痴がひどすぎる...

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めっちゃ戻ってどうにか正しい道を見つけた。

レオン以降、飛行機雲をやたら見るようになったな。

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1時間もしないうちに(迷ったから2時間かかったけどw)、ビジャレス・デ・オルビゴに着いた。

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なんか味のある壁。

一番上、インスタに貼った写真の街。ここでバル休憩をしていたら、レオン以来の仏紳士ジェラールと、コリアンガールのスンヨンに遭遇。ジェラールは初めて会ったのが4日目のマニェルで、そこからコンスタントに再会している。ペースが同じなのかな。前半よく会っていたアンディやアヤさん、パトリシアには、途中からすっかり会わなくなってしまった。スンヨンは、大きな帽子にサングラス、それにスカーフをぐるぐる巻きにして完全日避け仕様で歩いている。

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空が青くて、緑が濃くて、風もないし気持ちいいなー今日。

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自撮ってみた。

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レオン以降は道が赤い。

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しばらく街のない区間をもくもくと歩いていると、寄付制の休憩所があった。

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お手洗いはなさそうなので素通りしようと思ったけど、ハンモックあるやん!まあ急いでいないし、トイレもしばらく大丈夫そうだから(もうすべてがトイレ基準になる...)、オレンジを1ついただいてハンモックに寝っ転がることにした。

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至福...................

なんやこれ!サイコーやないかーい!

だめだ、「動けないトラップ」にはまってしもうた...

30分くらいうだうだしていると、あれ、ぐるぐる巻きの人が通っていく...

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あれ?スンヨンかな?こんな天国、通り過ぎちゃうのもったいないよ!

「スンヨーン!スンヨーーーン!」

と声を張り上げた。ぐるぐる巻きの女性が「あたし?」みたいに首をかしげつつこっちに来た。スカーフをとると、スンヨンじゃない...台湾女子キャリーだった。キャリーもめっちゃぐるぐる巻きやん!間違えてごめん。あー、でも知ってる人でよかった...

 

もーほんと動けなくなりそうだったので、重い腰を上げて歩き始めようと道に出ると、アジア系民族衣装を身に着けたプロ旅人みたいな人たちが3人、店番をしていた。うち1人は東洋系の女の子で、あれ、日本人かな?と思っていると、向こうから日本語で声をかけられた。

「日本の方ですかー?」

彼女は旅に出て1年半、このなにもないところで野宿して3日目になるらしい。

「なんか居心地よくて、動けなくなっちゃって。フランス人の道も、歩きだしたのはもう1か月以上前なんだけど、この調子じゃいったいいつ着くんでしょうねーははは」

...さすがプロ旅師。

...ほんで、ほんまもんの「動けないトラップ」じゃないかここ...

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ちょっとした小山を越えて...

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アストルガ見えたー!

オンタナスで会ったシアトル兄さんが「アストルガはすてきな街」と言っていたから、楽しみにしていたところ。ガウディ建築とチョコレートが有名で、「チョコレート博物館」もあるんだって。...でも残念ながら今日は日曜日...

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ぐるぐるの陸橋を渡って...

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巨大矢印に誘われて...

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アルベルゲ着いたー!

きれいなアルベルゲだなー。受付を待っている人が何人かいたので、最後尾に並ぶ。前の人、松葉杖ついてる。脚痛める人結構いるんだな... ん?この青いバンダナ... あ、ユニクロのUVパーカー...

「レネー!!!」

フロミスタの手前で、脚をひきずってたレネーだ!ひさしぶりに会ったけど、悪化してるやん!松葉杖ついて、だいじょぶなんか!?

「いやー、ちょっともう限界。ここで病院に行って、できれば2~3日は休もうと思ってるんだ」

それがいいねー。でも、その脚でよくここまで来たよね。えらいー!

公営のアルベルゲは普通は連泊できないけど(体調が悪い場合などは例外的に受け入れてもらえるけど)、アストルガは問題なく連泊できるようだった。よかった。

 

荷物を置いて、シャワーと洗濯をして、着替える。左ひざの虫刺されは、ぜんぜんよくなる気配がない。膿がサポートタイツにつくから、歩いているときは絆創膏を貼りまくっているけど、少し乾かそうと、絆創膏をはがしてワンピースを着た。

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テラスからはよい眺めー。

テラスで、道中で会った台湾女子キャリーに遭遇。夕食を一緒に作ろうと誘われた。作りたい!でも、調べてみると街のスーパーは日曜で全部休みだった。スーパーのある街に来るたびに日曜に当たって、なかなか自炊チャンスがない。しかたないから、じゃあ夕食を一緒に食べに行こうと約束した。キャリーはあまり街歩きをせず、アルベルゲでのんびりする派なので、時間だけ決めて私は街歩きに。

 

チョコレート博物館行きたかったな...

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ガウディの司教館もお休みで入れず。

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カテドラルどーん。

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ほんと、すてきな街... おいしいジェラート屋さんもあった。散歩をしていたら、知った顔にも次々に会った。スーさんにテレサ、スンヨン、Mr. トラブル、それにギター弾きのアンドレアスチーム。彼は途中から、スペイン人のソーニャと、カミーノで出会ったらしいルクセンブルグガール&仏青年カップルの4人で一緒に歩いている。


チョコの街だから、チョコレートも買っておこう。

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街と公園を散歩して、アルベルゲでキャリーと、その場に居合わせた韓国人青年と落ち合って、適当にみつくろったレストランに入った。

メヌーを食べ終わって、流れから虫刺されの話になり、スカートのすそをめくってキャリーに患部を見せた。

「ちょっと、なにそれ!それ、ほっとくのはよくない!薬がいる!薬局に行こう!」

自分では毎日見て、見慣れていたせいか、そんなにひどいと思っていなかったんだけど、確かによくよく見るとこれはちょっとひどい... 手のひら大にどす黒く腫れあがり、膿も流れ出ている。汚い...

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キャリーと韓国人青年が一緒に薬局についてきてくれた。塗り薬を買おうとお店の人に訊くと、それはすぐ病院に行ったほうがいいと言われた。

 

えー... 病院...そんなひどくなってた?やってもーたかな...

 

幸い、救急病院が街はずれにあって、日曜の夕方でも診てもらえるらしい。あー、ひどくなったのがアストルガみたいな大き目の街でよかったな...

 

キャリーが病院までついてきてくれるという。優しいいいいい!でも歩いて30分くらいあるし、全部でどれくらい時間がかかるかもわからない。キャリーの時間をもらっちゃうのは申し訳ない。「ひとりで大丈夫」「でも心配だから!」の押し問答を繰り返し、「戻ったら報告するから」ということで宿にいてもらうことにした。

「帰ってきたら絶対連絡してね!」って。

ほんといい子だなーキャリー。ありがとう。心強い。

 

ということで、ひとりでぽてぽて歩いて病院へ。そういえば、友達が昔、ダニにかまれて首が動かなくなって、コルセットはめることになったのを、今更思い出した。感染症起こして、一歩間違ったら、命の危険もあったって言われるくらいやばかった。急に不安になってきた... 虫刺され、甘く見ないほうがいい...

 

病院に到着。日曜の夕方だからか、ほとんど人はいない。受付で虫刺され跡を見せて、診察してほしいと英語で伝えると、スペイン語がわかるか訊かれた。

あうー、わかりません...

Google翻訳でどうにかなるのかなと思案していると、受付に青年医師が現れた。

 

「こんにちは。どうしました?巡礼の人?」

英語通じるー!助かったー!そして、なんか爽やかなイケメン兄さん!

 

すぐ診療室に通してくれ、いつ刺されたか訊かれた。

 

「それが、どこで何に刺されたか、全然わからないんです。ここ3~4日でめっちゃ腫れてきて...」

「ふーん... あー、これは、感染症起こしてるね」

げげげ。病院に来てよかった... 薬局のお姉さん、キャリー、病院行けって言ってくれてありがとう...

「たぶんだけど、蜘蛛じゃないかな」

「蜘蛛ー!?」

「うん、たぶんね」

「うげええええ!蜘蛛、めっちゃ嫌い!」

思わずそう言うと、イケメン医師はハハハと笑った。明るく、ただの雑談みたいに楽し気に話してくれるので、不安な気持ちがどんどんふっとんでいく。

「痛みはない?じゃ、抗生物質出すからそれ飲んで。8時間おきに10日ほど飲んでね」

「あのー、歩くの控えたほうがいいとかは...」

「あ、それは大丈夫。普通に歩いていいよ。ただし、薬飲むのは絶対忘れないで。それはすごく大事なことだからね」

 

イケメン医師はなにやら塗り薬をぬって、絆創膏を貼り、処方箋を書いてくれた。

抗生物質を10日分、炎症を抑える薬を5日分出しておくね。これを飲み終わるころには、よくなってるはずだよ」

塗り薬は必要ないようだった。まだ開いている街の薬局を調べてくれて、じゃあこれで終わりね。お大事に、と診察終了。

 

あーーー病院に来ておいてよかった!

 

そうだ、旅行傷害保険を請求するのに診断書もらわなきゃ。実質、処方箋書いてもらっただけだけど、時間外診療だから結構かかるかな、お金足りるかな、カード使えるのかな... とちょっとどきどきしながら、「あのー、治療費は...」と尋ねてみた。

 

「かからないよ!保険に入ってるでしょ?」

「え?いえ。スペインの医療保険には入ってないです。日本の旅行傷害保険に入ってるだけで...」

「...あ、そっかあ...うーん...」

イケメン医師、3秒考えてこう言った。

「いいや。気にしないで!」

 

え?気にしないでって、それですんじゃうの?えーそんなんでいいの?

 

ちなみに...

「巡礼者は病院に行くと無料で診察してもらえる」というウワサが一部で流れているようですが、巡礼者は診察無料なんてプログラムはないですよ。治療費はかかります。旅行傷害保険には入っていってくださいね。

(日本人以外でも「治療はタダ」と思い込んでる人は割といるみたい)

 

私の場合は、結局、ご厚意で無料で診察していただいてしまいましたが...(診断書めんどくさかったのかしら...)これはあくまでご厚意です。

 

「じゃあ、薬飲むのは忘れないでね。8時間おきだからね。ブエン・カミーノ!」

 

受付で処方箋をもらって、受付のおばちゃんにも爽やかに送り出された。アストルガの病院、なんていいところ!

 

ちゃんと診てもらったことで、気持ちも軽くなり、教えてもらった薬局に行った。処方箋を見せると、そこそこ大きな箱に入った薬が2つ出てきた。えーと、薬はいくらなのかな。現金減らしたくないからカードで払うことにする。

 

カードリーダーに入れて、金額を確認して目を疑った。

2.51ユーロ。

にーてんごーいち?薬2箱で?25ユーロじゃなくて?やっす!安すぎませんかこれ?

 

「え?2.51ゆーろですか?」思わず確認した。間違いないというので、「あ、じゃあ、これくらいだったら、キャッシュで払います...」と現金で支払う。

 

薬ってこんな安いの?びっくりするわ。だいじょうぶ?効くんかいな。

 

もちろん、薬はちゃんと効きました。買った薬を飲み切るころには、膿もなくなり、腫れもちょうど引いた。

イケメン医師すごい!すばらしすぎる!ありがとううううううう!

 

さすがに薄暗くなってきたなか、アルベルゲに戻る。Mr. トラブルとレネーに、診察について軽く報告(レネーにも「診察無料だった?」と訊かれた)。レネーは明日自分も病院に行くから、いい病院だった!というのを聞いて安心したみたいだった。キャリーからもメッセージが入り、「戻ってきた」と伝えると、部屋まで下りてきてくれた。いろんな人が心配してくれて、ありがたいなあ。ひとりで歩いているけど、出会ったいろんな人が助けてくれる。

 

 【本日のアルベルゲ】Albergue de peregrinos Siervas de María 5ユーロ

 

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 5フロアくらいある大きなアルベルゲ。全体的に明るいし清潔だし、キッチンは大きいし(使わなかったけど)なんといってもテラスからの眺めがとってもいい。アストルガはもう1泊してゆっくりしてもよかったな...

 

これを書いている1年後のいま、お世話になった受付のおばちゃんとイケメン医師はじめ、アストルガの病院のスタッフもたいへんな日々を送っているのだろうなあと思うと胸が痛む。どうか、みなさんが無事で、そしてゆっくり休める日が1日も早く来ますように。

【Day 24: Villar de Mazarife - Hospital de Orbigo】陽だまりのハンモックと、子犬と、アリシアのフィルムカメラ

2019年5月11日(土)晴れ

 

行程:

ビジャール・デ・マサリフェ 8:00 → ビジャバンテ 10:30 → オスピタル・デ・オルビゴ 12:00

移動距離:15km

歩数:29593歩

サンティアゴまで:278km

 

朝、アルベルゲの窓からきれいな朝焼けが見えた。

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朝から晴れたのはひさしぶり!

 

モデルプランでは1日でアストルガまで行くルートだけど、今日は中間地点に泊まりたいアルベルゲがあるので、2日間に刻んで行く。そこは人気のアルベルゲなので、昨晩のうちに予約しておいた。

 

ということで、今日は15kmくらいしか歩かないのでゆっくりスタート。

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行くよー!

10kmほど歩いて、ビジャバンテに着いた。

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表彰台のように巣を作るコウノトリさん...

休憩をとることもなく、今日の目的地、オスピタル・デ・オルビゴへ。

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テンション上がる街の入り口!

街もめっちゃステキやん!

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泊まりたかったアルベルゲは、街を抜けて5分ほど歩いたところにある。自家栽培している採れたての野菜で作ってくれるベジタリアンディナーがとてもおいしいという噂。

 

はい、こちらです。

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【本日のアルベルゲ】Albergue Verde 11ユーロ

 

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童話にでてきそうなかわいいおうち。そしてハンモックや寝っ転がれるベンチがたくさん置かれた庭。

 

建物に入ると、受付をする前に「まあまあ、まずはゆっくりして」と、お茶とケーキを出してくれた。お茶も、ティーバッグじゃなくていろんな種類のリーフティ。ローカルなはちみつも入れられる(このはちみつが激うま!)

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天窓のあるベッドルーム。

水回りもめちゃくちゃきれい!

 

ここでコリアンガールのアリシアと、コリーン&テレサの豪米コンビに再会。ステキなアルベルゲに、全員かなりテンションが上がっているw

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くつろぐアリシアとコリーン。

 

アリシアは小さなカメラバッグを携え、クラシックなカメラで写真を撮っていた。

「古いフィルムカメラなんだ。これで、1日に5枚だけ写真を撮るの」

持たせてもらうと、カメラはずっしりと重かった。デジカメなら、ばちばちといくらでも写真を撮ってしまうけど、フィルムだとそうはいかない。本当に気に入ったものや風景だけを選んで、慎重にアングルを決めて、ちょっとどきどきしながら撮るのかな。私はとにかく荷物を軽くすることばかり考えていたけど、アリシアはずっしりと重たいカメラバッグを持って、この道を歩いている。

 

韓国に帰って、暗室でゆっくりと浮き出てくる風景に再会したら、どんな気持ちになるんだろう。アリシアのフィルムには、どんなものが写ってるんだろう。とっても見てみたくなった。まあ、見ることはないんだけど。それはアリシアだけの風景だから。

 

時間はたっぷりあるので、街に戻ってちょっとお散歩。

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もう今日は、カミーノじゃなくて女子旅な気分ですよ...

 

お天気もいいし、あとは庭を駆けまわるお犬さまと遊んで、お庭のハンモックでくつろぐ。

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愛い愛い愛いやつー!

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そして庭全体に、めっちゃくちゃいい匂いが漂ってきた...!

お楽しみのごはんー!

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カリフラワーのディップ。びっくりするくらいおいしかった...

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超絶フレッシュなサラダ。

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スタパエリア。奥のマスタードドレッシングも自家製。

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生演奏付き。

なにもかもが手が込んでいて、とてもおいしかった...

癒されるなんてもんじゃないよこりゃ...

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だってキッチンのスパイスもすごいもの。

ウワサにたがわぬ、すんごいアルベルゲだった。ちなみにお夕食と翌朝の朝食のお代は寄付制。

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...とてもリラックスした1日を過ごせたんだけど、ひざの虫刺されが急激に悪化してきた。